オクちゃんの読書日誌 第6回

「psi力あるもの 愛の行方」 

   「psi(プサイ)力=超常力」

https://www.novelabo.com/books/547/chapters

ノベラボ 104,091文字 2016-03-01

 

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 16年前、双子が生まれた。 

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 然し、を持つ双子は禁忌とされていた。

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 私は高2女子、惣領未知(そうりょう みち)

冷たい感じを出すために眼鏡をかけている。

家族は父親と私だけ。 祖母は仏壇の中。

 

 学校までは桜並木を歩いて15分。

校門で体育の杉崎先生に迎えられる。

教室に入ると、隣のクラスの泉洸太(いずみ こうた)

私の席に座っている。彼は背が高くハンサム。

同級生の女子、黒谷慧(くろたに けい)には気に入らない。

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 祖母が生きている時に教えられた。

常に平常心を保て。

冷静でいなければ自らを苦しめることになる。

無闇にを使ってはいけない。

そのは人を幸せにすることもあるが

自分が傷つくことのほうが多い。

何を感じても、何が聞こえても、冷静に穏やかに。

怒りを相手に向けてはいけない。

人を妬み、恨んではいけない。

それが未知に課せられた約束。

 

 未知の右耳の後ろには小さな三日月の形をした痣がある。

祖母のわき腹にも同じ印があった。

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 それは、を持つ者の証拠。

 触れた人や物の念を読み取ることができる。

 感情をにして相手にぶつけることができる。

 相手からぶつけられた念には防御壁を張ることができる。

 

 惣領家は能力者の血筋を持つ人間が生まれる家系。

 隔世遺伝で、私、祖母、曾々祖父が能力者。

 

 このを持つ者だけが知ることができる。

ほかの普通の人間に気付かれてはいけない。

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 小学校に上がったばかりの頃、母が家を出て行った。

この時の悲しみと絶望感によって私のは開花した。

中2のとき祖母が他界し、父との二人暮らしになった。

 

 念を読み取るで、物に触れたり、人に触れると、

感情が脳になだれ込んできて苦痛を受ける。

祖母がをコントロールする術を教えてくれたので

未知は生きていられる。

 

 祖母によれば、ある者同士が想いを交わらせてはいけない。

つまり、愛し合ってはいけないとのこと。

もし、そうなれば、恐怖と破滅が待っているのだと。

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 泉洸太の肩の後ろに三日月形の赤い痣があった。

彼に「好きだ」と告白され、未知の心臓があばれる。

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 父が再婚相手の神谷詩織と息子のを連れて来る。

誕生日は私は3月27日。陸は3月26日。

1日違いの姉と弟。

 陸は私の高校に転校。 同じクラスで、隣の席。

陸は顔立ちが綺麗で女子生徒たちの注目の的になる。

二人は昼食を図書室で一緒に食べる。

陸は母の詩織とは似ていない。 心を穏やかにしてくれる。

 

 未知は黒谷の左手首に三日月の痣を見付け、を持つのか疑う。

黒谷から激しい憎悪と邪気を感じ、気分が悪くなるが、陸が

介抱してくれると治る。

 

 泉が陸にヤキモチを焼き、度が過ぎたために、未知は

泉の頬を引っ張叩いてしまう。

 

 黒谷に屋上に呼び出される。 手首の痣はただの打撲痕と判るが。

黒谷の強烈な嫉妬心が未知の胸に衝撃を与え、未知は失神する。

陸が現れ、黒谷に激しく文句をぶつけ、未知を保健室に抱いて行く。

それ以来、人や物に触れると、人の念が入ってきて、未知は

体調を崩して行く。

 

 未知が気分が悪くて保健室に行くと、泉が傷の手当てに来ていた。

泉が未知に想いを訴え、未知は苦しむ。 そこへ陸が現れ、

泉を殴り倒し、未知を連れ出す。

 

 陸は未知に恋してると云い、未知も陸を愛するようになる。

 

 両親が新婚旅行を兼ねて、箱根に一泊旅行に出かける。

その留守中、未知と陸はベッドを共にする。

 

 陸は親たちが話しているのを聞いて、自分は実子ではなく、

捨て子で、施設で育ったことを知ったという。

 

 二人は繋がりを持ってから、身体に異変が起きる。 

未知が祖母の写真に助けてと訴えると、「私の元に来なさい」

という祖母の声が聞こえてくる。 

写真の裏に隠された祖母の着物の切れ端に触ると、祖母が現れ、

事情を説明する。

 

 を持つ双子は禁忌とされており、片方しか生かせない。

それを、祖母は母親の記憶を消し、家から出て行くように

仕向け、後から生まれた男の子は、殺すことが出来ず、

施設の門前に捨てたという。

 

 確かに、陸の耳の後ろには朱色の三日月の痣があった。

陸のは未知のより弱いが、癒しのを持っていた。

 

 祖母の指示は引き出しに隠してあった小刀で陸を刺し殺せと

いうことだった。然し、未知はそれに逆らい、陸に小刀を握らせ、

自分の身体を小刀の上にかぶせる。

 

 未知の記憶はみんなの頭から消え、この世に存在した証拠も

無かった。 

 

 然し、陸にだけは未知の記憶が残る。

 

 ある夏の夕方、陸は学校に行こうと桜並木を歩いていた。

弱っている仔猫を見つけ、抱いてやるが、癒しのは消えていた。

諦めて、歩き出すと、「助けてあげないの?」という未知の声。

 

 陸は未知に抱き付き、未知も陸を強く抱きしめると、

二人の姿は夕闇の中に消えていく。